食物アレルギー,肌,アレルゲン

実践!子供のアレルギー対策研究室

食物アレルギーは口からより肌からアレルゲンが入る方が危ない?!

読了までの目安時間:約 6分

 

食物アレルギー 肌 アレルゲン

 
食物を摂取することで起こる「食物アレルギー」。

 
口からの摂取だけでなく、肌にアレルゲンが付いただけでも症状は出るの?

アレルゲンが含まれた石鹸や保湿剤を使っても大丈夫?

 
食物アレルギーの子の肌からのアレルゲンの吸入についてまとめてみました。

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食物アレルギーはアレルゲンが肌に付くのもダメなの?

 
アレルギーっ子のママやパパとの会話の中で、こんな言葉を何度か聞いたことがあります。

 
「うちの子小麦アレルギーなんだけど、この前なんて肌に小麦が付いただけで真っ赤に腫れ上がったんだよ!食べてもいないのにびっくりしたよ」

 
「食物アレルギー」と聞くと、アレルギーの原因となるものを口から体に入れたときに症状が起こることを多くの人が想像するかもしれません。

 
しかし、食物アレルギーは肌にアレルゲンが付着することによっても起こります。

 
卵の殻がフローリングに落ちているのを気づかずにいたら、子供がそれで遊んでしまって蕁麻疹が出てしまった。

趣味のパン作りの途中に子供がぐずって起きたので、あわてて小麦がついたままの手で子供に触ってしまったら真っ赤腫れ上がってしまった。

 
そんな話を同じアレルギーっ子のママから何度か聞いたことがあります。

 
アレルギーっ子はアレルギー症状の原因となる食物を食べさせないことだけでなく、肌にアレルゲンが付かないように気をつけることも実はとても大切なのです。

 

アレルゲンの含まれた石鹸や保湿剤は使える?

  
では、アレルゲンが含まれる石鹸や保湿剤を食物アレルギーの子が使うことについてはどうでしょうか?

例えば、乳成分が含まれている石鹸を乳アレルギーの子に使ったり、大豆イソフラボン含有の保湿剤を大豆アレルギーの子に使うことはどうなのかといえば、

これもやはりNO。
やめておいた方がいいでしょう。

 
真矢みきさんがCMしていた有名な石鹸を使って顔が腫れ上がったり、アナフィラキシーを起こした成人女性が続出した事件はみなさんの記憶にも新しいかもしれません。

これはその石鹸に加水分解小麦という成分が含まれていて、洗顔により皮膚が小麦に感作され、今まで小麦アレルギーではなかった人まで小麦に反応するようになってしまったという新しいタイプの食物アレルギーを生んだ事件でした。

 
食物アレルギーの子はもちろん、アトピー性皮膚炎の子も皮膚から感作を受けやすいので、このような成分が含まれる石鹸や保湿剤は避けた方がいいと言えるでしょう。

 

実は肌からアレルゲンが入る方がむしろ危険!!

 
口からアレルゲンが入ることが危険視されがちな食物アレルギーですが、実はアレルゲンは口から入るより肌から吸入される方がよっぽど危険な場合が多いんです。

 
「アレルギーに密接に関係するIgE抗体を上げる一番の後押しは、実は肌からのアレルゲンの吸入」ということをアレルギーを専門とされる先生からお聞きしたことがあります。

 
私の地元で有名なパン屋さんは長年小麦に接触したことが原因で小麦アレルギーを発症されたのですが、小麦を口から摂取することはかろうじてできるけれど、パンをこねるとアナフィラキシーを起こすほどひどい症状が出るそうです。

それほどまでに、肌からのアレルゲンの吸入は食物アレルギーの人にとって危険な因子なのです。

 
ですので、食物アレルギーの子は食事の場面だけでなく、工作で小麦粘土を使ったり、掃除で牛乳を拭いた雑巾を使ってしまうなどのアクシデントにも十分に気をつけなければいけません。

 

2000年頃から言われ始めたスキンケアの大切さ

 
このように、肌からのアレルゲンの吸入が非常に危険なことであるのがわかり、2000年頃から言われ始めたことがあります。

 
それは、食物アレルギーの子のスキンケアの大切さです。

 
ダニやハウスダストなど、アレルギーの体質に刺激を与える要因となるものが皮膚から体の中に吸入されることを防ぐために、肌の保湿をしっかりしてガードしてあげる
このことが口からの摂取を防ぐよりもある意味重要だ、と私がお会いした何人かのアレルギー科の先生は声を揃えて言われています。

 
口からのアレルゲンの摂取に関しては、例えば除去食にしても一昔前のように何でもかんでも完全除去するのではなく、アレルギーがあっても症状が出ないレベルのものに関しては食べて、除去は最小限にとどめるという考えが主流になりました。

また、減感作療法のようにあえてアレルゲンを摂取することでアレルギーを根本から直す治療法が広まったり、子供のアレルギーを防ぐために授乳中のママの食事を制限することも意味がないということがはっきり判明しました。

 
このように、食物アレルギーの治療の現場では、口からのアレルゲンの摂取の制限は最小限にする、そして肌からの吸入はスキンケアをすることによってしっかり防ぐ、この考えに流れが変わっています。

 

   

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