「ステロイドの塗り薬は怖い」の大きな誤解!正しい知識で正しい治療を
アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイドの外用薬。
しかし、たまにこんな声を聞いたりします。
「ステロイドは怖い薬だから、子供に使いたくない」。
だけど、これってどのような根拠から言われていることなのでしょうか?
「ステロイド外用薬に対する誤解」についてまとめてみました。
なんで「ステロイドが怖い」と思うのか
「ステロイドは怖いから、子供のアトピーの治療に使いたくない」と言う人に、「なぜ怖いの?」と質問すると、大抵次の3つの内のどれかが返ってきます。
①みんなが怖い薬と言っているから
②リバウンドという恐ろしい現象があるから
③重大な副作用が起こることがあるから
たしかに、これらの理由はステロイドについて一度は耳にしたことがある噂かもしれません。
しかし、これらの噂は本当なんでしょうか?
なぜステロイドに対してこのような噂があるのでしょうか?
ひとつひとつ説明していこうと思います。
テレビ番組から生まれた「ステロイドは怖い」というイメージ
まず1つ目の「みんなが怖い薬と言っているから」。
なぜ、みんなが(正しくはみんなではないのでしょうけど)ステロイドの外用薬を怖いというのか…
これは、90年代のマスコミによる「ステロイドバッシング」に起因しているのではないか、とある大学病院のアレルギー科の先生からお聞きしたことがあります。
90年代にテレビ番組などで、繰り返しステロイドの外用薬が強烈なバッシングを受けたことがありました。
その後、ステロイドの外用薬に対しての知識も広がり、「アトピーの治療にステロイドの塗り薬を使うことは怖くない」ということが一般的な考えに戻りましたが、当時のなごりで、お子さんがステロイド剤が必要なレベルのアトピーにも関わらず、断固拒否される方が今でもたまにいらっしゃるとその先生からお聞きしました。
アトピー性皮膚炎の治療は「原因の検索と対策」「スキンケア」「薬物療法」が大切と言われています。
しかし、ステロイドの外用薬を拒否することによって、この3本柱のバランスが壊れ、お母さんが異常な粗食生活によってアトピーを改善させようと試みるといった行動に出た結果、お子さんの成長が著しく低下してしまったという悲しい例もあったとお聞きしました。
ステロイドの外用薬がリバウンドを起こすってほんと??
そして、2つ目の「リバウンドという恐ろしい現象があるから」について。
これは、アトピー性皮膚炎のお子さんをお持ちの親御さんならみんな一度は聞いたことがある噂かもしれません。
しかし、この噂には大きな誤解があります。
「弱いステロイドの塗り薬を子供にしばらく使っていたら、炎症がさらにひどくなって、結局もっと強いステロイドを使わなければいけなくなった」
「ステロイドはどんどん強い薬を使わなければいけなくなって、結果的には一生手放せなくなる」
と言われる患者さんの話をよくよく聞いてみると、ステロイドの塗り薬を使って少し症状が落ち着いてきた時点で自己判断でぱっとステロイドをやめてしまったり、勝手に使う量を減らしてしまったなどのパターンが非常に多い、とアレルギー科の先生がおっしゃっていました。
ステロイドをやめるタイミングや、徐々に減らしていくタイミングは、素人が判断するのはとても難しいため、必ずお医者様の指導のもとに行わなければいけません。
一見すると、肌が落ち着いている状態なのに、それでもステロイドを継続して使用することは勇気のいることかもしれません。
しかし、ここでお医者様の指示に従ってステロイドを継続することによって、アトピーの完治が早まるため、結果的には一生の内で使わなければいけないステロイドのトータル量は少なくて済みます。
つまり、「ステロイドを使うこと」自体が症状をひどくするのではなく、ステロイドの正しい使い方をしなかった(自己判断で中途半端な使い方をした)ということがリバウンドの理由だと言われています。
実は私自身も小さい頃はアトピー性皮膚炎でステロイドの塗り薬を使っていましたが、リバウンドを経験することもありませんでしたし、小学校に入ってからはアトピーも完治し、ステロイドを使わなくても大丈夫になりました。
ですので、ステロイドの外用薬に対して、「リバウンドを起こすもの」「一度使ったら一生使い続けるしかないもの」というイメージはまったくありません。
また息子も0歳の頃からアトピーの治療にステロイドの塗り薬を使っていますが、途中で強いステロイドに切り替えなければいけなかったということもありませんでしたし、リバウンドも起こすことなく、今はステロイドの使用量も一番使っていた時期の30分の1くらいまで減らすことできました(つまりほとんど使わなくて大丈夫な状態です)。
もちろん、すべての人に万能なものはこの世にはないので、リバウンドを経験された方のすべてがこのパターンだったとは思いません。
しかし、「ステロイド外用薬のリバウンド」に対してこのような大きな誤解が存在している事実は、アトピーっ子の親として知っておくことが大切だと私は思います。
ステロイドの外用薬で重大な副作用は起こるか?
最後に、3つ目の「重大な副作用が起こることがあるから」について。
薬というものは、多かれ少なかれ副作用があるものです。
しかし、ステロイドの軟膏などの外用薬に「重大な」副作用があるかと言われれば、その答えは「ノー」ではないかと私は思います。
ステロイドの塗り薬の副作用として挙げられるものとしては、ニキビ、皮膚が薄くなる、毛細血管が見えやすくなる、多毛、内出血などがあります。
しかし、これらの副作用はいずれも強いステロイドを長期間に渡って同じ場所に塗り続けた場合に見られるものであり、弱いステロイドを通常量使っている場合にはあまり見られないと言われています。
(うちの息子もステロイドの塗り薬を3年ほど使用していますが、このような副作用が出たことはありません)
また、どの副作用もステロイドを休薬すれば自然に治っていくため、生活自体が困難になるような重大な副作用とは言いがたいでしょう。
ステロイドの外用薬を塗り続けることで、ステロイドが血液中にまわって全身的な副作用が起こるのではないかと言われる方もいらっしゃるようですが、かなり強いステロイドを常識はずれな量使わない限りは全身の副作用が起こることはないと言われています。
もしかしたら、スポーツ選手やプロレスラー、力士などが筋肉を増やすためにステロイドを内服したり、注射した結果、その副作用で若くして亡くなってしまったり、日常生活を送るのが困難になってしまったドキュメンタリーなどをテレビで見て「ステロイドの副作用は怖い」と思われた方もいらっしゃるのではないかと私は思いました。
しかし、ステロイドを長期的に内服や注射することと、ステロイドの塗り薬ではまるで別次元のことです。
つまり、ステロイドの外用薬を常識的な範囲で使用しても、重大な副作用が起こることは考えにくいということなのです。
ステロイドを適切に取り入れてほしい
ひとつ誤解してほしくないのは、私は何も「アトピーの治療には絶対にステロイドの外用薬を使わなければいけない!」と言っているわけではないということです。
アトピー性皮膚炎の治療はその子、そしてその家庭によってそれぞれ違うのが当然とわかっていますし、「これが絶対に正しい」という治療はないと思っています。
軽いアトピーなら保湿だけで治っていくこともありますし、ある程度のレベルのアトピーでもステロイドを使わずにお子さんを完治させたお母さんがいらっしゃるのも知っています。
それはそれでとても素晴らしいことですし、薬を使わずに病気が完治するのなら、それに越したことはないです。
ただ、できれば避けて欲しいのは、パッと見で明らかにステロイドの外用薬を使わなければいけないほどのアトピーで、お子さん自体もかゆみで苦しんでいるのに、ステロイドの外用薬を拒否することです。
小さい頃にアトピーでも、大人になれば完治して、日常的なケアは必要なくなる人がほとんどと言われます。
しかし、一生アトピーの治療を継続しなければならないタイプの方もいて、そのタイプの中のひとつが、
アトピーの炎症がひどいにも関わらず、子供の頃に親御さんがステロイドを拒否し続けたまま大人になった人
だと大学病院のアレルギー専門の先生が言われていました。
この記事を読んで、ステロイドの外用薬を怖がらずに取り入れる勇気をお母さん・お父さんに持っていただければ幸いだと思っています。
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『ステロイド 怖い』
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息子がアトピー持ちです。
ステロイドに不信感を持ちながら、塗りまくっていたのですが、結果、1歳半でツルツルお肌に。
今では使わなくても過ごせるようになりました。(杉花粉アレルギーなので、春先は荒れますが。)
この経験で、ステロイドって本当に怖い薬なのかなぁと思い、上記のキーワードで検索しました。
この記事を読んで、改めてステロイド使ってよかったなと思いました。
むしろ、早く使ってあげてればよかったと、肌がさがさの時期の写真を見ながら思います。
過去の私のように悩んでるお母さんがいたら、私の経験とこの記事を元に、ステロイドを勧めたいと思います。
こんにちは!
コメントありがとうございます。
息子さんのアトピーが治られてよかったですね(^^)!
アトピーの治し方はそのご家庭それぞれだとは思いますが、私個人の考えとしてはステロイドが必要とお医者様が判断された場合は怖がらずにきちんと使うことを他のママさんたちにもおすすめしています(もちろん軽度の場合は保湿剤のみで治りますが)。
息子さんの肌が治られて本当によかったですね!
うちも花粉の時期はまだまだステロイドを補助的に使わなければいけません。
いつか完全にステロイドを手放せる日までこつこつ頑張っていこうと思います(^^)